「世界でいちばん美しい物語」10.9.5

世界でいちばん美しい物語・筑摩書房刊1600円

先日、新宿の紀伊国屋南店で「世界でいちばん美しい物語」という本を見つけました。この本には、ビック・バン以後の宇宙と生命の歴史が対話風に物語として書かれています。分野としては、科学の本だと思うのですが、読んでいるうちに、夏の夜に高い山の上で、星空を眺めているような気持ちになりました。宇宙と生命の歴史の流れの中で考えるなら、子育てもゆったりと考えられるように思います。

「Q.望遠鏡を宇宙の一部分に向けるときには、その歴史のある一時期を見ているのですね。A.そのとおり、望遠鏡は時を遡る(さかのぼる)器械なのです。歴史家は古代ローマをじかに眺めることなどできませんが、私たち宇宙物理学者は本当に過去を見て、かっての天体の姿を観測することができます。今見るオリオン星雲はローマ帝国末期のものですし、肉眼でも見えるアンドロメダ銀河は200万年前の姿です。もし、アンドロメダの住人が今こちらを見ているとしたら、やはり同じ時間のずれで、原始人の住む地球を見ていることになります。」

私の、ぜひ、おすすめの1冊です。


「子どもの本の森へ」10.6.30

河合隼雄と長田弘の対談・岩波書店刊1500円

この本を読むと、無性に「子どもの本」が読みたくなります。ですから、おすすめです。

長田「絵本の世界というのは、記憶のリサイクルによってできていて、おんなじ本がずっと後になって読みかえすと違う。大人になって読むと、また全然違うものが見えてくる。あるいはおんなじ絵本でも、子どもがそこに読む物語と大人がそこに読む物語は、きっと違う。絵本の世界は、読むことで自分で物語をつくっていくんですね。ですから、一度目に読んだときと、二度目に読んだときとでは、きっとどこか微妙に違ってくる。リサイクルして、リサイクルして、その絵本の世界が自分のなかにつくられてゆく。

絵本は、一冊一冊読むとしたらそれこそ簡単に、速くさっさと読めてしまうけれども、実は、何度も何度も物語をつくりなおして読むことができるように、それだけのうんと長い時間をたくわえている。」

河合「子どもは、ほんとに何度も見ていますものね。」

長田「そしていつか絵本の世界をすっと抜けでて、もう何度も何度も絵本を見るということがなくなっていることに気づくんですが、でもやっぱり、そうして何度も何度も絵本の時間のなかに入っていった経験を、持っていると持っていないとでは、その後が違ってくるんじゃないでしょうか。やっぱり、かけがえのない一瞬がそこにはある。いい絵本のなかにあるのはほんと、永遠よりも長い一瞬ですね。」


「空色勾玉(そらいろまがたま)」 10.1.5

荻原規子(おぎわらのりこ)作/徳間書店刊

児童文学が好きな人は、一度は読んだことがあると思いますが、昨年「もののけ姫」を見て、なぜかまた、読んでみたくなって、お正月休みに読みました。すぐれた児童文学は、大人向けの小説のように冗長ではなく、純粋なエッセンスがきらきらと輝いているように思います。この「空色勾玉」も、大人が読んでも文句なく面白い作品だと思います。

「空色勾玉」をご存知ない方のために、本の帯のキャッチフレーズを引用させていただいて、内容を紹介。神々が地上を歩いていた、いにしえの日本「豊葦原(とよあしはら)」が舞台。村娘のサヤは15歳。孤児になった昔の記憶も癒えて、悩みといえば時折見る悪夢と、月代王(つきしろのおおかみ)へのかなわぬ恋。「闇(くら)」の氏族が来て告げた過去「おまえは闇の巫女(みこ)姫だ」そして握らされた「水の乙女」の青の勾玉。憧れの輝(かぐ)の宮で待っていた絶望。輝と闇の戦乱を背景に闇の姫と生まれながら光を愛する「水の乙女」と、輝の御子でありながら闇を夢見る「風の若子」の恋と冒険。続編の「白鳥異伝」「薄紅天女」を合わせて勾玉3部作と呼ばれています。同じく荻原規子さんの「西の善き魔女」(中央公論社)も、表紙は少女コミックのようですが、2巻、3巻と読み進むにつれ、荻原規子のファンタジーの世界にひきこまれてしまいます。

荻原規子先生のブログ「アンダンテ日記」へ

荻原規子先生のブログです。ご自身の本の紹介も、作者ならではの内容で、荻原規子ファン必見です。


アニメ「耳をすませば」 9.2.27

宮崎駿のアニメ「耳をすませば」は、現在、私の一番好きなアニメです。映画館へ2回も見に行きました。主人公?の天沢聖司と同じく、私も中学1年生のときヴァィオリンを製作しました。ヴァィオリンの胴体のふくらみは、薄い板を曲げて作るのではなくて、厚い板を小さな豆かんな(四方反りかんな)で削りだして作るのです。ですから、毎日、放課後、学校の木工室に通いつめて、1年間かけて完成しました。

そのヴァィオリンです。

「耳をすませば」のパンフレットで、監督の近藤喜文さんのお勧めの本としてE.L.カニグズバーグ作の「クローディアの秘密」をとりあげていました。私もこの本が好きです。NHKのみんなのうたで「メトロポリタンミュージアム」という歌にもなりました。このときカップリングで放送されていた谷山浩子さんの「まっくら森のうた」も好きです。同じく原作者の柊あおいさんのお勧めの本「ナルニア国ものがたり」もとても面白い本です。


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のぞみ幼稚園 園長 樫村文夫

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